「旅」は、古来から人を魅了する力を持っているようです。長期連休などになると、新幹線や飛行機の運航状況、最近では高速道路の通行料金一律1000円などから高速道路の混雑状況などが話題のニュースとして取り上げられます。旅のイメージは人それぞれですが、今回の特集でご紹介するみなさんの「旅」や旅に対するスタンスは、ちょっと一味違いそう(笑)。
個性豊かな旅人たちのお話です。
-あなたに聞いてほしいこと、あなたから聞いてみたいこと…人はきっとそれを持っている。-
<右の写真は堀さんが惚れ込んだ?万能薬>
*左から2点のフリー画像は<
http://eyes-art.com/pic>
わたしの海外旅行は、図書館から始まります。
もし行き先がアメリカならば、コロンブスが何のために船を出したのか、見つけたものは何だったのか。
その国の歴史や風俗や食事まで何でもかんでも目に入ってくるものを図書館の本から吸収しようと読みまくります。
そんな中から、この国の<お土産はこれだ>と探し出すのも楽しみですよ。
カジノで勝負するならバカラがいいかな・・とか奥さんを案内するならここが喜ぶかな~とか。 本の中でもう何回かその国に旅行をしたかのように自分でも錯覚するほどたくさんの本から大量の知識を拾い出すのです。
中国のときには横浜中華街の本まで読みましたよ。
そこに書いてあったのは料理人の皆さんがだれでも持っている薬の話でした。
私はそこの数行のところに感動したんです。というのも中華街の料理人の皆さんは一日中味見をしますからお腹の具合が今一のときは必ず飲む薬があるそうです。
それが「保済丸」なんです。(ポーツァイユンとかポーチャイピルと読みます)
風邪っぽいときも胃の痛い時もだるい時もなんでもかんでも「保済丸」だと書いてあったときに、絶対にこの薬を買うための旅にしよう。と強く思いましたよ。
中国海南島のデパートでついにその時はやってきました。
3階の薬局でメモ用紙に「保済丸」と書いて店員さんに渡したところが、大きくうなづいて、しばらくして小さな箱を持ってきました。
高さが7センチ角位で中にはプラスチックの小さな試験管みたいなものが20本入っていました。その試験管みたいな中には小さな丸くて赤黒い薬があるじゃないですか。
日本で云うと百草丸みたいに小さい薬なんです。
今日まで文字だけで資料の写真もなく、本で読む限りは中国人の料理人の常備薬だしすごい薬だと思い続けてきたその本物に出会えた喜びは言葉に出来ないくらいうれしかったですよ。
あまりに喜んで足元を見られるといけないので落ち着いたふりをして「いくらですか」と店員さんに電卓を渡しました。
「えっ」その数字が理解できません。それは何と日本円で10円ぐらいなんです。
20本も入っている1箱の値段がですよ。驚きの価格です。偽物が多い中国の事ですから大丈夫かな~?と心配しましたけれど、デパートのしかもこんなに清潔感のあふれる薬局でそれはないだろうと思いながらもわたしの口を衝いて出た言葉は、なんと
「あるだけ全部ちょうだい」
約50箱を紙袋に入れて静かにバスに乗り込みました。もちろん誰にも秘密ですよ。
その夜ホテルで宴会です。中国人のきれいなお姉さんがお酌をしてくれる中ひたすら夜は更けて当然のごとくお酒もすすみましたよ。
みんなが酔っ払っていよいよ宴会もお開きとなり、さ~解散と云う時にわたしは懐に持った「保済丸」のカプセルを皆さんに手渡して「酒の飲みすぎや食あたりなどなんにでも効く中国4000年の漢方薬だから飲んでおいたほうがいいですよ。サーサー飲んで飲んで」
皆さんは一気にその薬を飲んでそれぞれのお部屋に帰っていきました。
翌朝、バイキングの朝食のテーブルに皆さんがやってきました。どの顔もすがすがしい顔で夜はゆっくりと眠ることが出来たようです。
「昨日の夜の薬はなんていう薬なの?結構いいね」
「今日行くところで買うことが出来るかな」
「あの薬さー、いくらするの?高いんじゃないの」
おっと、朝から驚きの高評価です。
狭い島ですから昨日のデパートの「保済丸」は私が全部買い占めちゃったし、1カプセルが0.5円なんてことも言えないし弱っちゃいましたよ。 ま~その辺は黙ってニコニコして
「ちょっとなら買い置きがあるから欲しい時は言ってね」
いつでも私は良い人ですし、こころも広くやさしいひとですから・・・・・・。
皆で朝食をいただいて
「ごちそうさま」
部屋に帰ってからコップにミネラルウォーターを満たして、部屋の窓から中国の朝の雑踏を見下ろして、そしてゆっくりと「保済丸」の細長いカプセルの頭のキャップをとりジャラジャラと細かい丸薬を口に入れコップの水とともに飲み干しました。
本で読んだ憧れの薬がいま初めてわたしの体に入った瞬間です。
えっ、何かおかしいですか?
あ~昨日の夜、一緒の人たちに薬を勧めた時におまえは飲まなかったのかって?
ま~いいじゃないですか。旅はハプニングを楽しむものですから。
旅先で周りの人の様子を眺めるのも結構楽しいものですよ。
皆様も中国で何か勧められた時は本当に注意してくださいね。
あっ、最後に
アメリカ、ヨーロッパのお土産は胡椒を検討してみてください。
自分で使っても結構長い間楽しめますよ。また人にあげると長い間感謝され続けますしね。こんな辛いものを一度に食べてしまう人もそうはいないでしょうし、チョコレートをあげるよりコストパフォーマンスは高いですよ。
かつて中世の国々は、香辛料を得るために長い航海をして、さらには戦争までしたのが胡椒の歴史です。
人間のDNAに深く刻まれた味の歴史をその国、その国の胡椒から楽しむのも旅の楽しみです。
と云う事で、皆様の旅が安全で楽しい旅になりますように祈っております。
わたしの今晩の機内食はソース焼きそば。白コショウが味の決め手。
高度は海抜787メートル、キャビンアテンダントは57歳。
2人乗りのプライベートジェット機での夜間飛行。長野県北部を低空飛行で運行中です。
「アテンション、プリーズ」 「アテンション、プリーズ」
危険な香りの夜間飛行になりそうです。みなさんっ、それではっ、さようなら~。
【ゲストライタープロフィール】 堀 堅一
5歳より大町市に居住。東京にて約10年間金融業に勤務。
その後大町市にて土木建築資材販売会社に勤務。営業課長56歳
好きな言葉 夏はネパール、冬はバリ
2007年より活動開始
2007.3月 大町水物語を発表する。
親戚のお爺さんから聞き覚えた話を文章に起こす。
2007.4月 女清水、男清水の日本酒発売にむけて、市野屋商店さんと
2008年の1月の販売開始で合意。
2007.6月 大町水物語の会が6名で結成される。
7月 長野県北安曇郡地方事務所の商工観光建築課と
大町市商工労政課のご協力により
水飲み場の地図が入ったチラシを作成。
JR大町駅、大町温泉郷などに配布。
7月 アーケード散歩道の看板を作成して設置。
8月 水の聞き比べで成功者には水の宣伝員の認定書を
市長より手渡し。
2007.9月 黒部ビューホテルで日替わりの女清水コーヒー、
男清水コーヒーが販売され、好評を博す。
現在3ホテル
2008.2月 女清水、男清水の新酒セット発売される。
2008.6月 街中図書館(ダンボール図書館)が始まる。
10店舗でスタート、現在では23店舗に。
2008.7.19.20 7月28日からの本祭りまえの舞台囃子の練習を
町なかで“お囃子道場”を主催。
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